1階だけが使える駐車場の減額を、どこまで取れるのか。
賃貸割合を場所ごとに変えられるのか。
1階が事業用、2階・3階が賃貸用のとき、小規模宅地等の特例をどう区分するのか。
ひとつの設例を最後まで計算して、通達の条文に戻って確かめます。
説明のための架空の設例です。金額・面積はすべて仮のものです。
120,000,000 ×(1 − 0.4 × 0.3 × 0.90)= 120,000,000 × 0.892 = 107,040,000円
駐車場200平方メートルもこの1画地に含まれ、貸家建付地評価の対象になります。
| 駐車場を1階に直課 | 床面積で按分 | |
|---|---|---|
| 特定同族会社事業用 | 333.3333平方メートル | 200.0000平方メートル |
| 貸付事業用(賃貸中) | 206.6667平方メートル | 340.0000平方メートル |
| 空室対応(特例の対象外) | 60.0000平方メートル | 60.0000平方メートル |
| 選択(特定同族会社事業用/貸付事業用) | 333.3333/33.3333 | 200.0000/100.0000 |
| 減額額 | 49,866,667円 | 36,960,000円 |
| 課税価格(宅地等) | 57,173,000円 | 70,080,000円 |
特定事業用等は限度面積の枠を半分しか消費しないため、枠あたりの効率が貸付事業用の3.2倍になります。
80%減に載せられる面積が200平方メートルから333.33平方メートルに増えることの効果です。
| 問い | 答え |
|---|---|
| ビル全体がクリニックの患者用として 一体利用されていると評価できないか |
できません。2階・3階は第三者への賃貸であり、医療法人の事業の用ではありません |
| 事業のために貸しているので 特定事業用宅地等に該当しないか |
該当しません。該当するのは特定同族会社事業用宅地等です(400平方メートル・80%減は同じ) |
| 賃貸割合は建物全体の割合を 乗じる考え方で合っているか |
合っています。1画地600平方メートル全体に0.90を乗じます |
| 駐車場は100%事業用、建物は1階分を按分、 という組み方は可能か |
成り立ちます。ただし有償であることが大前提です |
用語について。特定事業用宅地等(措法69条の4第3項1号)は、その定義に「不動産貸付業その他政令で定めるものを除く」という括弧書があります。
被相続人からみればクリニックへの建物貸付けは不動産貸付業ですので、明文で除かれます。
該当するのは同項3号の特定同族会社事業用宅地等です。
限度面積400平方メートル・減額80%は特定事業用宅地等と同じですので、効果は変わりません。違うのは要件だけです。
「収入を得ているわけではない」が駐車場業として第三者から収入を得ていないという意味なら問題ありません。
しかし文字どおり無償で使わせている場合は、二重に不利になります。
賃貸借契約書に駐車場が含まれているか、賃料が近隣相場に照らして相当かを、
契約書と賃料水準の両面で確認してください。同族間の賃貸ですので、賃料水準の裏付け資料も用意しておくと安全です。
一時的空室と認められると賃貸割合が1.0になり、評価額は 120,000,000 × 0.88 = 105,600,000円 に下がります。
同時に空室対応部分も貸付事業用宅地等に含まれるため(措通69の4-24の2)、特例の選択余地も広がります。
退去日・募集開始日・課税時期後の成約日を先に確認してください。
本設例は「建物敷地と駐車場を一体の1画地とできる」ことを前提に置いていますが、この前提自体が確定的ではありません。
平成8年6月13日裁決の基準は「駐車場の利用者がその貸家の賃借人に限られる」ことです。
クリニックの駐車場は患者用でもあり、患者は賃借人ではありません。
一体にできなければ評価額は111,360,000円となり、432万円不利になります。
条文・通達・裁決の引用と、ここに至るまでの検討は詳細タブにまとめています。
自用地価額 200,000円 × 600平方メートル = 120,000,000円
貸家建付地評価額 120,000,000 ×(1 − 0.4 × 0.3 × 0.90)= 120,000,000 × 0.892 = 107,040,000円
減額額 12,960,000円
| 組み方 | 建物敷地400平方メートル | 駐車場200平方メートル | 合計 |
|---|---|---|---|
| 一体の1画地600平方メートル | 120,000,000 × 0.892 | 107,040,000円 | |
| 分けて、駐車場は自用地 | 71,360,000円 | 40,000,000円 | 111,360,000円 |
| 分けて、駐車場は賃借権控除2.5% | 71,360,000円 | 39,000,000円 | 110,360,000円 |
一体で評価できるかどうかで、評価額が332万円から432万円動きます。
一方、次章のとおり「駐車場だけ賃貸割合を1.0にする」ことはできません。
仮にできたとしても効果は駐車場部分で48万円ほどですから、力を入れるべきは一体性の立証のほうです。
賃貸割合が1でないため、相続税申告書の第11・11の2表の付表1(別表1)の作成が必要です。
同別表の記載要領は、空室に対応する部分について自用地として評価した金額を記入するよう求めています。
| 区分 | 面積 | 単価 | 評価額 |
|---|---|---|---|
| 賃貸中に対応する部分 | 540平方メートル | 176,000円 | 95,040,000円 |
| 空室に対応する部分(自用地) | 60平方メートル | 200,000円 | 12,000,000円 |
| 合計 | 600平方メートル | — | 107,040,000円 |
単価176,000円は 200,000 ×(1 − 0.4 × 0.3)です。
空室対応の面積60平方メートルは 600 × 60 ÷ 600 で求めます。この分解は恒等式で、必ず総額と一致します。
1平方メートルあたり178,400円(=107,040,000÷600)という一律単価を使う方法は誤りです。
別表1の記載要領が、空室対応部分は自用地単価で記入するよう求めているためです。
一律単価で用途区分ごとの評価額を出すと、空室部分に含まれる自用地プレミアム(24,000円)を
減額対象の面積にも薄く配ってしまい、減額額が過大になります。
面積の配分は計算上の約束事です。
駐車場を1階に直課する場合、物理的には空室対応は建物敷地400平方メートルから出る40平方メートルと考えたくなります。
しかしその配分で単価を当てると合計が106,560,000円となり、財産評価基本通達26による全体額と48万円ずれます。
「賃貸中540平方メートル・空室60平方メートル」の枠を固定したまま、540平方メートルの中から用途区分を切り出すのが、
全体額を崩さない配分です。選択面積は限度面積で決まるため、最終的な減額額に影響はありません。
「賃貸割合」は、その貸家に係る各独立部分(構造上区分された数個の部分の各部分をいう。)がある場合に、その各独立部分の賃貸の状況に基づいて、次の算式により計算した割合による。
財産評価基本通達26(2)賃貸割合 = Aのうち課税時期において賃貸されている各独立部分の床面積の合計 ÷ 当該家屋の各独立部分の床面積の合計(A)
分子も分母も家屋の床面積です。土地の地積は一切登場しません。
したがって賃貸割合は、1棟の家屋について1つしか算定されません。
駐車場が1階専用であることは土地の側の事情であって、家屋の各独立部分の賃貸状況ではありません。
だから賃貸割合の算定要素になりません。一体の1画地とした以上、600平方メートル全体に一律0.90が及びます。
ご質問の「建物全体の賃貸割合を乗じる」という理解は、この点で正しいということになります。
賃貸マンションに隣接する33台分の駐車場のうち、入居者14台、入居者以外18台、未利用1台という事案です。
審判所は、入居者が利用していた14台分についてすら貸家建付地評価を認めず、賃借権の控除も認めず、
駐車場全体を自用地として評価すべきとしました。
混在しているときに利用実態に応じて按分する、という処理は採られていません。
「一部だけ高い割合を当てる」という発想が通らないことを示した先例です。
なお、駐車場部分は100%クリニックに貸しているのに0.90を乗じることになりますので、
この点だけ見れば納税者にやや不利な処理です。
「賃貸割合0.90を駐車場部分にまで乗じてよい」と明示した通達・質疑応答事例は見当たりません。
一体の1画地とすることを選んだ結果として、財産評価基本通達26から機械的にそうなる、という関係です。
宅地の評価単位は「1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地)」です(財産評価基本通達7-2(1))。
分けるのは棟の単位であって、階の単位ではありません。
質疑応答事例「宅地の評価単位」も、貸家が数棟あるときは各棟の敷地ごとに1画地とするとしています。
B土地については、B土地を一体として評価した価額を、原則として、建物の自用部分と貸付部分との床面積の比により按分し、それぞれ自用部分の価額と貸付部分について貸家建付地としての評価をした価額を算出し、その合計金額をもって評価額とします。
国税庁 質疑応答事例「宅地の評価単位-自用地と自用地以外の宅地が連接している場合」地面を切り分けるのではなく、建物の床面積の比で価額を按分する。これが通達の建て付けです。
家屋の借家人は家屋に対する権利を有するほか、その家屋の敷地についても、家屋の賃借権に基づいて、家屋の利用の範囲内で、ある程度支配権を有している
国税庁 質疑応答事例「貸家が空き家となっている場合の貸家建付地の評価」1棟の中に借家人が何人いても、敷地が借家人ごとに分割されるわけではありません。
したがって「1階+駐車場」と「2階・3階の底地」に分ける計算は成立しません。
貸家の敷地に隣接する駐車場にあっては、その駐車場の利用者がその貸家の賃借人に限られるなど、契約上も、利用状況の上でも貸家の目的に供されている宅地と駐車場とが一体である場合に限り、その駐車場も貸家の賃貸借と一体の状態にあるものとし、貸家の敷地と駐車場の敷地は利用の単位が同一である一画地の宅地として、全体を貸家建付地として評価することが合理的であると解すべきである。
国税不服審判所 平成8年6月13日裁決共同住宅の北側駐車場782.80平方メートル、共同住宅敷地717.54平方メートル。
居室15室(13室入居)に対し駐車スペース26台分。入居者全員が利用契約を締結し、入居者以外の契約者はなし。
裁判所は一体利用を認め、課税庁の3つの主張をいずれも退けています。
読み方に注意が必要です。
この争点では原告の主張が通りましたが、更正処分の認定事実と同一で納付税額に変更がなかったため、請求自体は棄却されています。
また、この一体評価は課税庁の更正処分と同じ立場でした。
一体性の決め手は、「建物の賃借人以外に利用者がいるかどうか」に収斂します。
契約書に専用と明記されていないこと、対価が別建てであること、台数が戸数を上回ることは、いずれも決定打になりません。
平成8年裁決の基準は「駐車場の利用者がその貸家の賃借人に限られる」ことです。
ところがクリニックの駐車場は患者用でもあり、患者は賃借人ではありません。
契約上の利用者は医療法人(賃借人)ですが、現実の利用者に賃借人でない者が多数含まれる点は、否認材料になり得ます。
「一体で評価できる」ことを所与の前提に置かず、ここをリスクとして見ておく必要があります。
「事業のために貸しているのだから特定事業用宅地等では」という見方がありますが、
本件で該当するのは特定同族会社事業用宅地等です。
被相続人等の事業(不動産貸付業その他政令で定めるものを除く。以下この号及び第三号において同じ。)の用に供されていた宅地等
租税特別措置法69条の4第3項第1号(特定事業用宅地等)政令で定めるものは「駐車場業、自転車駐車場業及び準事業」です(同法施行令40条の2第7項)。
被相続人からみれば、医療法人への建物の貸付けは不動産貸付業ですので、明文で除かれます。
また特定事業用宅地等は、親族が被相続人の事業を引き継いで営むことを要件としており、本件の形態では構造上あり得ません。
| 特定事業用宅地等 | 特定同族会社事業用宅地等 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 措法69条の4第3項1号 | 同項3号 |
| 限度面積 | いずれも400平方メートル(同条2項1号「特定事業用等宅地等」) | |
| 減額割合 | いずれも80%(同条1項1号) | |
| 誰の事業か | 被相続人等自身の事業(不動産貸付業等を除く) | 同族法人の事業 |
| 主な要件 | 親族が事業を承継し、申告期限まで継続 | 出資の総額の50%超を保有、取得者が申告期限において役員、相当の対価を得た貸付け、保有継続・事業継続 |
| 3年内の制限 | あり(3年以内に新たに事業の用に供された宅地) | なし |
効果(400平方メートル・80%減)は同じですので、結論が不利になるわけではありません。
ただし要件が違いますので、役員要件・出資50%超・有償の貸付けを満たしているかの確認が必要になります。
役員は法人税法2条15号の役員をいい、医療法人の理事長は該当します(措規23条の2第5項)。
できません。措置法関係通達69の4-23は「当該法人の事業の用に供されていた」宅地等に限っています。
2階・3階は第三者への居住用賃貸ですので、医療法人の事業の用ではありません。
2階・3階に対応する敷地は、被相続人の貸付事業の用に供されていたものとして貸付事業用宅地等(200平方メートル・50%減)の候補になります。
仮に建物1棟全体を法人に貸し付け、法人が2階・3階を転貸していたとしても、結論は同じです。
国税庁情報(令和3年4月1日付・資産課税課情報第9号。平成22年7月13日付・資産課税課情報第18号の後継)の事例3は、
同族法人に建物1棟を相当の対価で貸し付け、法人が1階で自己の事業を営み2階を他社に貸し付けている事案で、
法人が店舗として使っている部分のみ特定同族会社事業用宅地等、
法人が転貸している部分は貸付事業用宅地等としています。
根拠は措置法69条の4第3項1号の括弧書(「以下この号及び第三号において同じ」により3号にも及びます)と同法施行令40条の2第7項であり、
措置法関係通達69の4-23の注1はそれを確認したものです。
600平方メートル(宅地の面積)× 200平方メートル(3F部分の床面積)÷ 600平方メートル(建物の総床面積)× 2分の1(乙の持分)= 100平方メートル
国税庁情報(令和3年4月1日付・資産課税課情報第9号)事例1按分の方法そのものを定めた条文はありません。
措置法施行令40条の2第4項が「事業の用に供されていた部分に限る」と定めるだけです。
床面積按分は、建物の敷地が階ごとに物理的に割り付けられないための合理的な方法として、国税庁が示しているものです。
したがって「1階部分に該当する面積で按分するしかないのか」というご質問への答えは、
建物の敷地については、床面積按分が実務の標準ですということになります。
ただし「しかない」わけではなく、次の駐車場のように、特定の用途にのみ供されている区画は別に考える余地があります。
事業用 600 × 200 ÷ 600 = 200.0000平方メートル
貸付用 600 × 400 ÷ 600 = 400.0000平方メートル
事業用 400 × 200 ÷ 600 + 200 = 333.3333平方メートル
貸付用 400 × 400 ÷ 600 = 266.6667平方メートル
ご質問の「駐車場は100%事業用として扱い、建物部分は1階部分のみを按分する」という組み方は、
この2の直課にあたります。成り立ちます。
国税庁情報の事例10は、土地600平方メートル・建物総床面積400平方メートル(建築面積200平方メートル)という事案で、
建物の建ち面積を大きく超える部分まで含めて600平方メートル全体を床面積比で按分しています。
公表されている按分例(事例1・3・10・14)は、いずれも一の宅地等の全体を建物の床面積比で按分しており、
直課しているのは建物が2棟ある事例2だけです。
「駐車場を直課してよい」と明示した条文・通達・質疑応答事例・裁決は見当たりません。
逆に「必ず床面積按分せよ」と読める明文もありません。
説明は通りますが、公表例に直接の支えがない立場です。
採用する場合は、区分の方法を書面添付で開示し、床面積按分との差が分かるようにしておくことをおすすめします。
駐車場が医療法人に有償で貸し付けられ、医療法人が患者・職員用に自ら使っているのであれば、
特定同族会社事業用宅地等の候補です。
措置法関係通達69の4-23の注1は、法人の事業には「不動産貸付業その他措置法令第40条の2第7項に規定する駐車場、自転車駐車場及び準事業が含まれない」としていますが、
除外されるのは法人が駐車場業を営んでいる場合です。
医療法人が自ら使っているだけであれば駐車場業ではありませんので、この除外には当たりません。
被相続人からみれば駐車場を法人に貸すのは不動産貸付業ですが、
特定同族会社事業用宅地等の判定は「法人の事業の用に供されていたか」で行いますので、支障になりません。
宅地等が……被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等に該当するかどうかは、当該宅地等が相続開始の時において現実に貸付事業の用に供されていたかどうかで判定するのであるが、貸付事業の用に供されていた宅地等には、当該貸付事業に係る建物等のうちに相続開始の時において一時的に賃貸されていなかったと認められる部分がある場合における当該部分に係る宅地等の部分が含まれることに留意する。
租税特別措置法関係通達69の4-24の2含まれるのは「一時的に賃貸されていなかったと認められる部分」に限られます。
本設例は賃貸割合を0.90としており、これは一時的空室に該当しない前提で組まれています。
したがって空室に対応する敷地60平方メートルは、特例の対象外です。
空室3室が一時的空室と認められる場合は、賃貸割合が1.0になります。
評価額は 120,000,000 ×(1 − 0.12)= 105,600,000円 となり、
空室対応部分も貸付事業用宅地等に含まれるようになります(措通69の4-24の2)。
19室中3室ですので、募集の継続状況と空室期間を先に確認してください。
| 区分 | 駐車場を直課 | 床面積按分 | ||
|---|---|---|---|---|
| 面積 | 評価額 | 面積 | 評価額 | |
| 特定同族会社事業用 | 333.3333平方メートル | 58,666,667円 | 200.0000平方メートル | 35,200,000円 |
| 貸付事業用(賃貸中) | 206.6667平方メートル | 36,373,333円 | 340.0000平方メートル | 59,840,000円 |
| 空室対応(対象外) | 60.0000平方メートル | 12,000,000円 | 60.0000平方メートル | 12,000,000円 |
| 合計 | 600.0000平方メートル | 107,040,000円 | 600.0000平方メートル | 107,040,000円 |
特定事業用等宅地等の面積 × 200/400 + 特定居住用宅地等の面積 × 200/330 + 貸付事業用宅地等の面積 ≦ 200平方メートル
租税特別措置法69条の4第2項第3号| 区分 | 枠1単位で使える面積 | 減額率 | 枠1単位あたりの効率 |
|---|---|---|---|
| 特定事業用等 | 2平方メートル | 80% | 1.6 |
| 貸付事業用 | 1平方メートル | 50% | 0.5 |
枠の消費が半分で済むことによる2倍と、減額率の比80対50による1.6倍が掛け合わさって、3.2倍の差になります。
単価が同じである限り、特定同族会社事業用を限界まで選び、残枠を貸付事業用に回すのが最有利です。
| 駐車場を直課 | 床面積按分 | |
|---|---|---|
| 特定同族会社事業用の選択 | 333.3333平方メートル(枠消費166.6667) | 200.0000平方メートル(枠消費100.0000) |
| 貸付事業用の選択 | 33.3333平方メートル | 100.0000平方メートル |
| 限度面積の判定 | 166.6667+33.3333=200.0000 適合 | 100.0000+100.0000=200.0000 適合 |
| 事業用の減額 | 46,933,333円 | 28,160,000円 |
| 貸付用の減額 | 2,933,333円 | 8,800,000円 |
| 減額額合計 | 49,866,667円 | 36,960,000円 |
| 課税価格(宅地等) | 57,173,000円 | 70,080,000円 |
80%減の枠に載せられる面積が200平方メートルから333.33平方メートルに増えるためです。
参考までに、特定同族会社事業用だけを選んで貸付事業用を選ばない場合は46,933,333円ですので、
併用したほうが293万円ほど有利です。
課税価格は1,000円未満を切り捨てます。
| 貸し出し方 | 貸家建付地評価 | 小規模宅地等の特例 |
|---|---|---|
| A 使用料を建物賃料に含める (建物賃貸借に付随) |
可。駐車場も含め1画地を貸家建付地 | 措通69の4-23(2)。舗装は「建物等」に含まれるため、その敷地が該当。特定同族会社事業用の候補 |
| B 土地の賃貸借として別途有償で貸す | 危うい。下記の裁決 | 措通69の4-23(1)「当該法人に貸し付けられていた宅地等」に文字どおり該当。整理しやすい |
| C 無償で使わせる (相当の対価に至らない低額を含む) |
不可 | 不可 |
被相続人が同一の法人に対し、建物を「建物一時使用による賃貸借契約書」で、
残りの土地約1,340平方メートルを「駐車場一時使用による賃貸借契約書」で、別契約により貸していた事案です。
審判所は、建物敷地部分は財産評価基本通達26の貸家建付地としつつ、
駐車場部分については「貸家の敷地の用に供されている宅地」部分がないことが明らかであるとして、
同通達86の貸し付けられている雑種地として評価すべきとしました。
措置法関係通達69の4-4の括弧書は「無償(相当の対価に至らない程度の対価の授受がある場合を含む)」としています。
タダでなくても、相場に届かない低額なら無償と同じ扱いです。
この場合、駐車場200平方メートルは小規模宅地等の特例の対象外(減額ゼロ)となり、
かつ貸家建付地評価もできず自用地40,000,000円になります。
同族間の賃貸ですので、建物全体の賃料が近隣相場に照らして相当かも確認してください。
著しく低ければ、駐車場だけでなく建物部分についても準事業にすら当たらず、
特定同族会社事業用宅地等・貸付事業用宅地等の双方が崩れます。
なお、舗装のない青空駐車場は、有償であっても特例の対象外です。
措置法69条の4第1項が対象を「財務省令で定める建物又は構築物の敷地」に限っており、
同法施行規則23条の2第1項の除外は温室等のみだからです。
舗装が一部のみの場合は、舗装部分に限られる点にも注意が必要です。
| 分子 | 分母 | |
|---|---|---|
| 賃貸割合(評基通26(2)) | 賃貸されている各独立部分の床面積の合計 | 当該家屋の各独立部分の床面積の合計 |
| 小規模宅地の按分(国税庁情報) | 用途部分の床面積 | 建物の総床面積 |
賃貸割合の分母は「各独立部分」ですので、共用廊下・階段・エレベーター等の共用部分は入りません。
それ自体を独立して賃貸に供することができないためです。
一方、小規模宅地の按分の分母は「建物の総床面積」で、登記床面積や延べ面積には共用部分が含まれます。
本設例は共用部分を捨象しているため両者が一致しますが、実物件では食い違います。
専有600平方メートル+共用60平方メートル=総床面積660平方メートル、土地600平方メートルとすると
事業用 600 × 200 ÷ 660 = 181.82平方メートル
貸付用 600 × 400 ÷ 660 = 363.64平方メートル
合計 545.45平方メートル → 54.55平方メートルが宙に浮きます
実務では共用部分を各用途の専有面積比で割り振ります。
その結果は、専有部分の合計で按分するのと数学的に一致します。
ただし、小規模宅地について共用部分を各用途に按分することを明示した通達は見当たりません。
クリニック専用のエントランスや待合ホールのように使われ方が偏っている共用部分は、
機械的な按分ではなく実態に応じた割付けを検討すべきです。
土地の評価単位は、原則として、遺産分割後の取得者ごとに区分した後、利用の単位となっている土地ごとに判定した評価単位を基に評価すべき
国税不服審判所 平成28年12月20日裁決土地だけを取得した人の部分は「貸家の敷地の用に供されている宅地」に当たりません。
自用地評価か、土地そのものの利用を目的とする賃貸借であれば賃借権控除にとどまります。
さらに賃貸人の地位の承継が効いてきます。
駐車場使用料を建物の賃料に含めていた場合、賃貸人の地位を承継するのは建物の所有者です。
土地だけを取得した人は賃料を得ませんので、貸付事業用宅地等は使えません。
医療法人の出資と、二次相続への影響。
持分の定めのある医療法人の出資は、財産評価基本通達194-2により取引相場のない株式に準じて評価します。
医業継続に係る相続税の納税猶予(措法70条の7の12)は持分なし医療法人への移行が前提ですので、
移行すると出資が存在しなくなり、二次相続以降はこの土地について特定同族会社事業用宅地等を使えなくなります。
出資の納税猶予と宅地の特例は、二次相続まで含めた有利判定が必要です。